As Time Goes By_猫族.3

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小説_猫族_序章3

____八幡神社に祀られているのは誉田別命(ほんだわけのみこと)とも呼ばれ、応神天皇と同一とされる。全国の武家から武運の神(武神)「弓矢八幡」として崇敬を集めている。
神社だが、神仏習合のせいか山門を持ち、これをくぐると、奥行き三十間、右側に四十間ほど拡がる広場があり、右奥に高さ二十尺ほどの小山の上に社殿が建てられている。その裏は鎮守の森というか高さ五十~六十尺、長さ二町ほどの丘陵が右横奥に拡がる。二匹は、右へ折れ広場の右隅まで向かった後、小山を登りきり、社殿の右側の緑地へ進む。そこには、既に三十匹ほどの猫が集まっていた。揃っているわけでなく、てんでばらばらの、いわゆる猫の集まりである。
「にしん」は集まりの端にいた受付担当の猫に向かい、その猫の前に細縄に縛った煮干しを置き、社殿沿いに奥側に入り、そこに「しどう」と共に腰を下ろした。
煮干しは、決まった置き所を持たない、いわゆる、野良のために可能な者が供出する一種の決まりにある。
今日の集会は、子猫のための訓練日のようだ。二種類行われており、坂側では直射日光が満面に当たり明るいところで鼠取りの訓練が、「にしん」たちが腰を置いた奥側では木登り訓練だ。

 

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