省エネ&新技術

外気冷房_CO2_制御_換気_クールベント

この度、株式会社アクシスは、外気冷房とCO2基準環境の制御換気が可能な制御装置「クールベント」を開発しました。東京電力ホールディング株式会社との共同研究として、2016~2017年度における研究開発を行い、完成の域に達し、今後は、実用展開を計る所存です。

研究期間中に、2件のフィールドテストを済ませ、実用案件として、2018年、千葉の某ホールに採用されました。

制御装置「クールベント」とは、

・既設の換気装置を使って実現します。
・最小構成は、外気センサ+室内センサ+超小型PCコントローラ。
・空気の状態値や外気温度変化に伴うCOP推定など高度な演算処理により制御判定に導きます。
・換気装置に繋がず「見える化」装置として用い、既設の外気取入れ装置を手動で行うことも可能です。
・「クールベント」はソフトウェアなので、規模の大きい制御システムと同じフィールドで働くことも可能です。
・地球に優しい自然エネルギ活用の省エネルギシステムです。

構成の組み合わせは、
基本は[外気冷房]です。
構成は外気センサ+室内センサ+制御出力ユニット+超小型PCモジュールのセットです。
プラス[CO2制御換気]では、室内CO2センサを追加します。
これを無線・有線LANで繋ぎます。
機能は、
「クールベント:外気冷(涼)房」は、外気が冷熱として働くとき、冷房熱として利用可能なエネルギ量を算定・判定し、制御します。建物が冷房運転状態にありながら、外気が低レベルにある環境:夜間や中間季に効果を発揮します。
「クールベント:CO2制御換気」は、在室者が許容する二酸化炭素(CO2)濃度を基準に、過剰な換気下で侵入する外気:空調用外気熱負荷を抑制する目的で、換気必要量を算定・判定、制御します。
強力で、しかしエネルギを多量に消費する冷暖房空調装置の絶対能力に比べると、換気による冷却・抑制効果は微々たる量ですが、効果は自明であり何より自然エネルギ利用の省エネシステムです。

効果が期待できる建物用途は、
適する建物用途は、一日の営業時間が長い建物用途や夜間営業が通常的な用途です。例えば、コンビニ、レストラン等。また、一時的に不特定多数の人員を収容する劇場やデパート、パチンコ店等に向きます。
家庭用向けには、エアコンの風が嫌いなお年寄りの熱中症対策として、また、換気不足による一酸化炭素中毒の防止に役立つことでしょう。

制御動作は、
・外気冷(涼)房モード
対象期は、建物が冷房運転されている時期です。室内の熱エネルギ値(比エンタルピ)と屋外の熱エネルギ値を比較して外気を取り入れると冷房・冷却の手助けになるとき、送風機・換気扇などの給排気装置を動かします。冷房時には、空調処理された室内状態より低位状態にある外気が吸入されるので、必ず支援・軽減側に働きます。
・CO2制御換気モード
建物が冷房運転されている時期、外気の熱エネルギ値が室内状態値より高く、外気を取り入れると熱負荷となる状態(いわゆる通常の冷房運転時)に抑制動作が働きます。暖房運転時には、外気の熱エネルギ値が室内状態値より低く、外気を取り入れると熱負荷となる状態時(いわゆる通常の暖房運転時)に抑制動作が働きます。過剰な外気侵入を抑えるよう、CO2基準値を目標に換気量を制御します。
CO2センサを持たない場合は、概略計算法ですが在員状態から計算により発生CO2状態を求め必要な換気量を割り出す機能や、換気回数法による計算機能を持っており、推定計算による換気量制御も可能です。

展開:見える化装置として
既設建物で、既に外調機など外気を取り入れ可能な機器・装置を装備されている場合には、この「クールベント」を中央監視室等に置き「見える化」装置として利用できます。判定表示に従って手動発停を行うことで、「クールベント」策の実行が可能です。

展開:制御モジュールとして
「クールベント」は、外気の熱ポテンシャルを活用しようと演算・判定・報知・制御するロジック・モジュールです。いわゆる制御装置なので、性能効果は接続する操作機器・設備により大きく変化します。一つの小さなコントローラセットでも、接続する設備の規模によっては、大量の外気量を扱うことや複数系統への指示制御も可能です。よって、大きな制御システムの一翼としても働かせることも可能です。
自然通風・換気の効果は
屋外の涼気を求める時期、住宅では、盛夏以外には機械冷房は行わず窓開け通風換気を励行するのが通例です。業務用建物でも、自然通風を活用した工夫を組み入れた省エネ建物も見られます。しかし、住宅でも業務用建物でも自然換気はお天気任せとなり、無風・微風環境時には残念ながら用を成しません。

機械換気の効果は
その点、機械換気は要求時に定常的に効果を上げられます。しかし、ファン運転による電力消費が生じるため、その分効果量は減じられます。これを過大に感じ、省エネ施策で無条件に停止されている例が多く見受けられます。
換気方式は1,2,3種に分類されます。第1種は給気と排気を同時に行うもの、第2種は給気のみ、第3種は排気のみとなっています。もちろん給排気を同時に行う第1種換気が優れていますが、第3種の排気だけでも効果はあります。室などの閉鎖空間で排気が行われるとその空間が減圧され通常圧にある周り(例えば外気)の空気が流入されるからです。
外気冷(涼)房効果とは
住宅では冷房を実施するのは通常7,8月の盛夏時のみですが、業務用建物では春先から晩秋期まで長期に亘り行われます。その理由は、業務用建物では、建物内部に照明や各種機器などによる発熱、多数の人員発熱によって冷房用熱負荷が発生し、建物外皮を通じての伝熱冷却だけでは不足するからです。住宅でも同じですが、建物内を冷房させたい時・状態に、外気がそれより低い時・状態は多分に存在し、その際、通風・換気で外気を取入ることが出来れば、外気という自然の冷却媒体で建物内の冷房が行えるのです。これが外気冷(涼)房であり、空調設備で夏期夜間に設定される運転モード:ナイトパージと称される省エネ手法と同様の効果です。
CO2制御換気効果とは
外気を取り入れず無換気状態に置かれると、室内空気は人の呼気等により空気汚染が進みます。防止する代表的な対策は換気です。汚染指標値の代表的指標には二酸化炭素(CO2)濃度が用いられ、運転方法は手動の常時運転が通例です。空調運転中においては、取込まれる外気の熱エネルギが冷暖房の熱負荷となるので、その分の運転処理エネルギの増加、ひいては電力費の増加となります。CO2の濃度基準値を下回るときに換気運転を停止できれば、適正な電力消費量、電力費になります。この効果は、夏冬の高熱負荷時により多くの効果を示します。
手動制御による機械換気の効果は
では、夏期、中間期、外気冷(涼)房と汚染防止用として、常時、換気運転を行った場合、空調用消費エネルギの損得はどうなるのでしょうか。試算結果は、やはり常時換気は不経済という結果でした。しかし、状況を見て運転発停するように工夫すると、手動による機械換気運転でも充分期待できる結果も出ています。(要は、制御された換気なのです。)

自動換気制御の効果
365日時々刻々と変化する外気状態を捉え、外気冷(涼)房の効力を判定し実行するには、自動制御操作が適しています。
手動制御による外気冷(涼)房運転もそれなりに効果が期待できますが、遷移域においては、まずミス・ロスを生み、また、人に常時の注意を強いるのは大きな負担となります。比較的軽微な手段でこのシステムを設置し、判定をコントローラに頼り、常時監視・判定・運転を行えば、確実な効果が期待できます。

システムの構成例
センサとの通信は無線で行います。ネットワーク幹線には有線を用います。有線無線を縦横に用いることで確実な
通信を実現します。個別対応も容易です。そして、コントローラPCを身近に置くことで状態監視が出来ます。
「見える化」装置としての利用は、出力を外し画面で状態確認、既設の空調・換気装置の手動発停を行えば適います。

その他の機能:カレンダー / スケジューラ / ファイルによる手動制御など

<特許申請中>

本製品は、以下の企業体で連携して展開しています。

開発       株式会社アクシス
開発      東京電力ホールディング株式会社 経営技術戦略研究所
協力       株式会社東光高岳
協力       ユークエスト株式会社

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